小泉進次郎農林水産大臣は、コメの価格高騰に対応するため、備蓄米の放出において積極的な姿勢を見せています。特に、これまでの競争入札方式ではなく、大手小売業者との随意契約方式を導入し、5キログラムあたり2,000円程度で店頭に並べることを目標に掲げました。
この小泉大臣の取り組みが、実際のコメの値段にどのような変化をもたらしているか、そしてその評価は以下の通りです。
値段の変化
- 2,000円台の備蓄米の流通開始: 小泉大臣の就任後、実際に一部の大手スーパーやコンビニエンスストアで、目標とする2,000円台の備蓄米（主に古米）が店頭に並び始めました。これにより、消費者は一時的に安価な米を購入できるようになりました。
- 全体価格への影響は限定的との見方: しかし、多くの専門家は、備蓄米の放出だけではコメ全体の価格水準を大幅に下げる効果は限定的であると指摘しています。備蓄米の放出はあくまで「対症療法」であり、市場全体の需給バランスを根本的に改善するものではないという見方です。
- 備蓄米の放出は、一時的な供給量の増加にはつながりますが、市場に流通するコメ全体の量から見れば一部に過ぎません。
- 小売業者側も、安価な備蓄米によって通常のコメの売上が影響を受けることを懸念し、安価な備蓄米の販売量を調整する可能性があります。
- 一部の店舗での影響: 大手小売業者では備蓄米が並び始めてから、通常のコメの売上が1割から2割程度減少したという声もあります。これは、安価な備蓄米に消費者が流れていることを示唆しています。
- 高止まりする平均価格: 農林水産省のデータによると、備蓄米の放出が始まってからも、全国のコメの平均小売価格は依然として高い水準（5キログラムあたり4,000円台）で推移しており、前年同期の2倍以上となっています。
評価と課題
- 「スピード重視」と「見せ方」: 小泉大臣は「スピード重視」を掲げ、積極的にメディアに露出して備蓄米放出の動きをアピールしています。その「見せ方」は戦略的であると評価する声もあります。
- 根本的な解決には増産が必要: 多くの識者は、コメ価格高騰の根本原因は数年間の供給不足（減反政策の影響や異常気象による作柄不良）にあるとし、真の価格安定には来年以降の増産が不可欠であると強調しています。小泉大臣も「コメ増産」に向けた農政転換の必要性を認識しており、緊急輸入も選択肢に入れる考えを示しています。
- 古米の品質と小売店の受け入れ: 放出される備蓄米は年数が経過している「古米」が多く、一部の米店からは品質への懸念や、2ヶ月程度の短い販売期間で大量の古い米を売り切ることへのリスクを指摘する声も上がっています。
結論として、小泉大臣の主導による備蓄米の放出は、一時的に安価なコメが市場に流通する変化をもたらしましたが、コメ全体の価格高騰を根本的に解決するには、長期的な需給バランスの改善（増産など）が課題として残っています。
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