コロンビアの大統領選挙候補であるミゲル・ウリベ・トゥルバイ(Miguel Uribe Turbay)氏が、首都ボゴタで銃撃されたという報道があります。
報じられている内容は以下の通りです。
- 発生日時: 2025年6月7日(土曜日)
- 場所: 首都ボゴタの公園で選挙活動中
- 状況: 武装した男らに背後から銃撃されたとされています。
- 容態: 少なくとも1発の銃弾が首と頭の間に当たったと報じられており、手当てを受けていますが、容体については明らかにされていません。しかし、一部報道では重傷と伝えられています。
- 容疑者: 襲撃した容疑者は逮捕されたと発表されています。逮捕されたのは15歳の少年で、9mmの銃器が押収されたとのことです。少年は現在、医療センターにいます。
- 背景: ウリベ氏は来年5月に行われる大統領選挙への出馬が目されており、今回の事件はコロンビアにおける政治的な暴力の再燃への懸念を高めています。
- 反応: コロンビア大統領府は声明で暴力的な攻撃を強く非難し、事件の徹底的な捜査を求めています。
ウリベ氏は、ジャーナリストであった故ディアナ・トゥルバイ氏の息子であり、元大統領の孫にあたる人物です。
コロンビアの政情
コロンビア大統領選挙は、現在のグスタボ・ペトロ政権の政策やその影響、そして次期選挙に向けた動きが、政情を複雑にしています。
グスタボ・ペトロ政権の現状と評価
ペトロ大統領はコロンビア史上初の左派政権を樹立し、**「真の最終的な平和」「高齢者や子ども、障害者への配慮」「治安の改善」「汚職との闘い」「環境保護と再生可能エネルギーの促進」**などを公約に掲げています。特に、長年の内戦に終止符を打つための左派ゲリラとの和平交渉の再開や、違法武装組織との対話を進める姿勢を見せています。
しかし、政権発足以来、以下のような課題に直面し、その支持率は低下傾向にあります。
- 政治スキャンダル: 2023年には、選挙キャンペーン資金に関する疑惑や、大統領側近による盗聴問題など、複数の政治スキャンダルが浮上し、主要閣僚の更迭につながりました。これにより、政権の求心力が低下し、改革の推進にブレーキがかかっています。
- 改革の頓挫: 医療保険制度改革や労働制度改革、年金制度改革など、ペトロ政権が矢継ぎ早に打ち出した改革案は、議会での合意形成が難航し、頓挫を余儀なくされています。与党内での対立も発生し、連立政権の不安定化を招いています。
- 経済状況: 高インフレが続く中、中銀は利下げに慎重な姿勢を維持せざるを得ず、景気の停滞が続いています。政治的な混乱も相まって、経済は「視界不良」の状態にあります。
- 閣僚交代の多発: 2024年末から2025年初にかけて、短期間で複数の閣僚が交代しており、政権運営の不安定さを示唆しています。
次期大統領選挙に向けた動き (2026年5月31日予定)
次期大統領選挙が約1年後に迫る中、与野党ともに動きを見せています。
- 与党「歴史的協定」: 2024年5月には、次期大統領選挙に向けた候補者擁立のためのオンライン投票を実施しており、ルイス・レジェス商工観光大臣、マリア・ピサロ上院議員、ダニエル・キンテロ前メデジン市長、フランシア・マルケス副大統領などが候補として名前が挙がっています。
- 世論調査: 大統領選を1年後に控える中で、調査会社による投票意向調査が発表されており、今後の政局の行方を占う上で注目されます。
ペトロ政権の苦境は、次期大統領選挙の構図にも大きな影響を与えると考えられます。左派政権がこのまま支持を維持できるのか、あるいは中道・右派勢力が巻き返すのか、今後のコロンビアの政情は流動的で、選挙戦が激化することが予想されます。
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